北里義之『サウンドアナトミア』出版記念ライブ@新宿PIT INN

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北里義之『サウンドアナトミア』出版記念ライブ@新宿PIT INN

「死人」:吉増剛造(朗読)吉田アミ(voice)大友良英(g)
DUO:SachikoM(sinewave)巻上公一(vouce,termin)
TRIO:中村としまる(no-input mixingboard)巻上公一(voive,termin)大友良英(tt)
対談:北里義之+大谷能生

いつもと何だか異なる雰囲気です。
どうも当日券の方が多いようだ。壁伝いに人がズラーっと並んでました。

まずは執筆者である北里義之さんの挨拶。ライヴを見るのはなんと数年ぶりとのこと。副島輝人さんから花束贈呈。
今回の編成は北里さんのリクエストということで、凄い取り合わせです。


まずはTRIOでの演奏。
大友さんはターンテーブル。摩擦音なノイジーな音を繰り出しながら、中盤にダンスミュージックなノリのいいレコードを使って断片的にその音が鳴ってました。後半レコードを指で押して鼓動のような音を出していたのも印象的。


続いてDUOでの演奏。
SachikoMさんは、持続音は殆どなく、プチプチッと音を出してました。巻上さんは序盤は口琴を駆使し、徐々に声とテルミンが加わります。
全く異次元で鳴っているようなお二方の演奏。不意に響くSachikoMさんの音がたまりませぬ。


休憩を挟んで、吉増さん、吉田アミさん、大友さんの演奏。
スケジュールでは「死人」と題されてましたが、どうやら北里さんからは好きなようにやって下さいとのこと。

始まる前に休憩中に吉増さんがステージ上で黙々とセッティング中。『サウンドアナトミア』出版記念と朱色で書かれた紙や「死人」CD発売のパンフレットが貼られたり、ステージを金槌でポンポン叩いたり、そして何より吉増さんの顔の下半分を和紙のようなものをセロテープで止めてマスク状態なのが、なんとも異様な空間を醸し出します。

始まると、大友さんはエレキギターを弓弾きしたり金具を使った演奏で沈み込むような音を響かせます。
吉増さんはステージ上を徘徊。ハンディカメラで大友さんの手許に接近したり。紙をちぎり始めたり。
吉田アミさんは水を口に含んで気を伺います。

ついに吉増さんが朗読を始めると、内から搾り出すような迫力のある声で、また紙をめくって声を出しているので、ガサついてさらに凄まじさが伝わってきます。
アミさんのハウリングヴォイスも衣擦れのようなかけそき音から、さらに音量が増していき、獰猛な鋭利な音を発してました。

吉増さんの一挙手一投足から目が離せません。今度は物干しを揺らし、付けていたものがボロボロ落ちていき、落下し金具に当たって音を立ててました。
この後もハンディカメラにテキストを手に、二人それぞれに接近していきます。
吉田アミさんに触れるかぐらいに接近し、アミさんがチラ見したのは、なんだか得も言えぬ緊張感に包まれました。

いやぁ、凄まじいステージでありました。


また休憩を挟み、最後に対談。
ステージの片隅には、ゲームボーイをしている少年のように、カリンバを手にした大友さん。
音響的即興とかには全く疎いのだけど、北里さんの介護の話はなんとも興味深く聞けました。
時たまを口を出す、ステージ脇から聞こえてくるぼやきの神様の発言も印象的。確かに音楽は必要ないもんなぁ。ギターアンプがその場でオークションにかけられてました。